縮図
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作成日時 : 2012/11/21 00:28
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平成24年11月18日(日)曇り
その日は長い一日だった。
■勝浦鳴海ロードレース
一年ぶりにハーフマラソンに参加した。
レース直前まで徹底してストレッチ。数週間前に足首をひねったばかりだ。今日ひねったらまずい。
靴紐をぎゅっと結ぶ、 はずれないように。
■スタート〜中間地点
スタート!
先頭集団にとりあえず入っておく。だいたい1キロ4分20秒。これはかなり早いペース。心臓は多少鍛えたが実践は今日がはじめて。
少しペースを落とし、1キロ4分30秒。少し早いが下り坂が長く続くし、ハーフマラソンだから心臓がもつかもたないかの問題だ。抜かれていくが中間地点(10キロの折り返し)までは力を温存する。
中間地点までペースを落とすために少し考え事をすることにした。仕事のこと、家のこと、友達のこと、人生のこと。
死んでしまった友達が一時的に住んでいた静養所をみて、さらに考える。
人間とは何だ? 答えとは何だ?
少し哲学者のマネごとをしてみる。
まあ、そんな難しいことを考えてると少し走ることを忘れる。
■中間地点
10キロあたりで前後のランナーを確かめる。それがコツみたいな時もある。
前に女性ランナー。さっき俺を抜いた、いい根性だが息が荒い。
横に男性ランナー。沿道の声援に「ありがとう」といいながら走る元気ランナー、彼の背番号は12。
誰かと走ると少し楽になる。
元気ランナー背番号12に話しかけた。
俺「元気ですね♪」
彼「いいペースですよね(^^) 4分30秒!一緒にゴールへ行きましょう」
俺「そうですね、どこまで行けるかな?」
彼「行けますよ、大丈夫(^^)」
俺「ここからは登り坂になる、きびしいな」
彼「向かい風にもなるのでお互いに盾になりましょう」
俺「着いていけなくなったら、そこでおわりか!」
彼「そういうことですね(^^)」
二人の決意を決める。
最初は俺が前。
風がきつい。中間点をすぎたら飛ばすつもりだったから少し気合いを入れた。
時計は1キロ4分10秒。
早すぎる・・・。
俺「あれ、早すぎましたね」
彼「先に行ってください」
俺「いえ、もう少し一緒に」
すでに、あの女性ランナーは遥か後方、何人も抜き続けた。
しかし、14キロすぎに俺の心臓が悲鳴をあげた。風を受けながらのスピードアップ。
彼に盾になってもらったが心臓がおかしい。
体の求める酸素と血液を心臓が送り出せていない。
心臓が痛い。
彼が何度も振り替えって僕を気にしてくれた。二人で一緒に走る方が楽なはずなのに心臓が持たない。
心臓痛い。心臓止まりそう。
俺「先にいってください、がんばって」
彼は軽く手をあげて、エールを交わしてくれた。
しばらく一人だ。
■回復する心臓
風がきつい。
一緒にゴールで笑えなかった。
くやしい。
くやしい。
なぜついていけない。
思い出す。
俺の心臓は回復するのが早い。
呼吸を整えろ!
心臓を回復させろ!
1キロ4分55秒に落とす。
かなりペースを落とす。
彼は視野から絶対離さない。
背番号12、彼の背中の数字。
思い出す。
最初のフルマラソン。
一緒にゴールしようと約束したランナーとゴールできなかったくやしさを思い出した。
背番号12、彼とゴールしたら、きっと楽しい。たぶん友達になれる。
彼との差はタイム差1〜2分。
絶対に視界から離さない。
ならばチャンスはある。
■向かい風
彼に追い付くためには、彼より早く走らなければいけなくなった。
ゴールまでは残り4〜5キロ。
心臓を回復させつつペースをあげる。体のスペックを引き出せ!
彼との間に5人くらいのランナー。
1キロ4分10秒で悲鳴をあげた心臓。
ならば4分20秒・・・このタイムにしなけれぱゴールまでに背番号12に追い付かない。
間の名も知らぬランナーを勝手に向かい風の盾にする。
人生と一緒だ。向かい風の時は誰かの影でそっと息を潜めることもある。
耐えろ!
負けねえ!
あの人とゴールしたらきっと笑える。
小さな思いが力になる。
そんなもんだ。
■互いに助け合う
ふと気づくと、彼の背中が大きくなってきた。
僕がペースを取り戻し、彼がペースを崩したんだ。
俺「追い付いたぞ!(^^)」
彼「坂にやられました(>_<)」
俺「残りわずか、一緒に!!」
二人ともだいぶ苦しかったはず。
しかし、最後に僕が彼をひっぱることになった。
途中まで彼に助けてもらった。
最後の最後で俺が助ける!
俺は「負けねえ!負けねえ!」とさけびながら走る。
ゴール近くで友だちの声援もあった。
すべてがエネルギー。
前に突き進むエネルギーだ!
■ゴール
競技場に入った。
無事完走?あれ?トラックもう一周?
俺「まぎらわしい!!まぎらわしいぞーー!(^^)」と叫びながらもう一周。
彼がうしろにいるのはわかった、タイムは気にせず楽に走った。
一緒にゴールしてみたかったんだ。
ゴール!!
1時間36分35秒!
彼は37秒!!
二人とも息をすることも苦しいか笑顔。
二人とも40歳は越えている、おじさん同士だ。
二人とも好記録を讃えあい、感謝しあった。
「あなたがいたから」と。
名前を教えあい、1月に別のレースで再会を約束した。
マラソンは人生のようなもの。
ペースが早い人も遅い人もいる。
それでも人は走る。なぜ走るのかわからないけど、走る。
時に仲間とともに走り、時に一人で走り、時に向かい風を誰かの影で堪え忍ぶ。
つらいときはつらいと言って少し休む。
友達と距離がひらいても、ソッと無言ではげましあう。
言葉がなくても誰かをはげましている時がある。
自分の体のことを理解し、体全体の能力を把握し、ぎりぎりまでスペックを引き出す。
ゴールするまで、一緒にがんばろうと約束した友達と最後まで支え合い、笑う。
このレースは人生の縮図。
この一瞬が人生だ。
このレースは忘れない。
(続く)
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